====== PhotoShopで V-Ray Back To Beauty 合成の基本 ======
PhotoShopにて、レンダリング画像の「反射を少し弱く/強くする」「オブジェクトの色を少し変える」というのは非常によくある作業ですね。V-Ray では、このような作業の為にレンダリングを「反射」「ライティング」「影」等の「要素」に分解して編集できる機能を提供しています。
V-Rayでは分解した「反射」「ライティング」「GI」などの要素を「レンダーエレメント」と呼びます。また、レンダラーが直接出力した最終結果(RGBデータ)を「Beauty」と呼びます。
分解した「反射」「ライティング」「GI」などのレンダーエレメントを、再度合成して最終的なレンダリング画像(RGB)に戻す合成作業を「**Back To Beauty**」と呼びます。
{{:chaosgroup:v-ray:tute:all:beauty_formula_resized.png?nolink|}}
ここでは、各アプリケーションのV-Rayでレンダリングを出力し、PhotoShop上で「Back To Beauty」合成を行う工程を説明します。
「レンダーエレメント」という言葉は Autodesk社 3ds Maxで提供されているレンダリング要素出力機能の名称ですが、V-Ray は 3dsMax版が全ての始まりなので、この呼び方を他のアプリケーション版でも使用しています。ホストアプリケーションによってはレンダリング要素を 「AOV (Arbitrary output variables) 」「レンダーパス」「マルチパス」とも呼びますが、意味は同じです。
V-RayではVFBで「Back To Beauty」合成を行う事ができます。面倒なファイルのやり取りがなく、CryptomatteやLightMixと組み合わせて利用できるので、特にPhotoShopを利用する理由がない場合VFB上で処理する事をおすすめします。
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* [[#tab-3dsmax|3ds Max 版]]
* [[#tab-maya|Maya版]]
* [[#tab-c4d|CINEMA 4D版]]
* [[#tab-skprhino|SketchUp版およびRhino版]]
===== 3ds Max版での出力設定 =====
レンダリング設定>レンダーエレメントタブから "VRayBackToBeauty" エレメントを追加します。
"VRayBackToBeauty" エレメントを1つ追加するだけで、「Back To Beauty」合成に必要な基本エレメントが全て生成されます。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:3dsmax01.jpg?nolink |}}\\ \\
レンダリング設定の V-Rayタブ>フレームバッファロールアウト>"V-Ray RAWイメージファイル"のチェックを有効にします。[...]を押してファイルの保存先とファイル名を指定します。フォーマットに OpenEXR (.exr) を選択します。
V-Rayレンダリングのハイダイナミックレンジを完全に維持する為に"EXR/VRST 32ビット出力"のチェックをつけてください。(チェックを付けない場合、一部のチャンネルは 16bitで出力されます)
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:3dsmax02.jpg?nolink |}}\\ \\
"V-Ray RAWイメージファイル"から保存するので、3dsMax側のレンダリング出力設定は不要です。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:3dsmax03.jpg?nolink |}}\\ \\
レンダリングを実行します。指定した場所に .exr ファイルが生成されている事を確認してください。
===== Maya版での出力設定 =====
レンダー設定> Render Elements タブ> "Preset: Back To Beauty"をクリックします。すると「Back To Beauty」合成に必要な基本エレメントが全て自動的に追加されます。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:maya01.jpg?nolink |}}\\ \\
レンダー設定>共通タブ>Image File Output にて Image Format に "exr (multichannel)"を選択します。
V-Rayレンダリングのハイダイナミックレンジを完全に維持する為に Image format options ボタンを押して OpenEXR の Bits per channel を "**32 bits (full float)**"にセットします。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:maya02.jpg?nolink |}}\\ \\
レンダリングを実行します。プロジェクトのImagesフォルダに .exr ファイルが生成されている事を確認してください。
===== CINEMA4D版での出力設定 =====
V-Rayのレンダリング設定>基本設定タブ>"V-Rayネイティブイメージ出力" にて「V-Rayネイティブの出力システムを使用」にチェックを付けます。\\
フォーマットに **exr** を選択し、フォーマットのオプションでファイルタイプを"**マルチレイヤー**"にセット、さらにV-Rayレンダリングのハイダイナミックレンジを完全に維持する為に、フォーマットのオプションを開いて "**32 bits(full float)"**を選択します。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:c4d01.jpg?nolink |}}
「V-Rayネイティブの出力システムを使用」する場合、CINEMA 4D標準の"保存"を使用する必要はありません。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:c4d02.jpg?nolink |}}
V-Rayメニュー>レンダーエレメント設定 を開き、左側の Beauty の文字を掴んで、中央にドラッグ&ドロップします。すると「Back To Beauty」合成に必要な基本エレメントが全て自動的に追加されます。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:c4d03.jpg?nolink |}}
レンダリングを実行します。指定した場所に .exr ファイルが生成されている事を確認してください。
===== SketchUp および Rhono版での出力設定 =====
V-Rayのレンダリング設定タブ>Render Outputロールアウト>Save imagesで File Pathにファイルの保存先とファイル名をセットします。\\
File Typeを "**exr**" にセットし、Image Optionで **Multichannel** にチェックします。\\
V-Rayレンダリングのハイダイナミックレンジを完全に維持する為に Bit per channelを **"32 bits"** にセットします。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:skprhino01.jpg?nolink |}}
レンダーエレメントタブにて "Back To Beauty"エレメントを追加します。「Back To Beauty」合成に必要な基本エレメントが全て自動的に生成されます。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:skprhino02.jpg?nolink |}}
レンダリングを実行します。指定した場所に .exr ファイルが生成されている事を確認してください。
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===== PhotoShop での作業 =====
PhotoShopで、V-Rayの複数のレンダーエレメントを含んだOpenEXRを読み込むには、プラグインをインストールする必要があります。次の2種類のプラグインの何れかをダウンロードしてインストールしてください。
全て無償で配布されています。作者の方に感謝ですね。
* **ProEXR** [[https://www.fnord.com/|]]
Zipを展開して出てくる **ProEXR.8bi** を\\
**C:\Program Files\Adobe\Adobe Photoshop [バージョン]\Plug-insフォルダ** 内にコピーしてPhotoShopを再起動してください。
* **EXR I/O** [[https://www.exr-io.com/|]]
インストーラー形式なので、インストールしていただくだけです。
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ProEXRでは、Altキーを押しながら .exr ファイルをPhotoShopにドラッグ&ドロップしてみてください。添付のオプションが表示されます。
ここで "Alpha appers on sepalate layers" にして "Set Deaults"ボタンを押して初期設定として保存します。(次回からこの設定が自動的に適用されます)\\
これで、AlphaチャンネルがRGBレイヤーの透明度ではなく Alphaレイヤーとして独立して読み込まれます。AlphaチャンネルがRGBレイヤーの透明度として適用されないので、RGBレイヤーに背景が見えるようになるでしょう。\\
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:proexr_options.jpg?nolink |}}\\ \\
EXR I/Oでは、Altキーを押しながらPhotoShopにEXRをドラッグ&ドロップすると、次のオプションが表示されます。\\
"Spilit Alpha"のオプションを有効にします。(無効な場合、アルファチャンネルがRGBチャンネルの透明部分としてセットされます)\\
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:exrio_options.jpg?nolink |}}\\ \\
{{:chaosgroup:v-ray:tute:all:alpha_wtranspalancy.jpg?direct|}}\\ これらのオプションを設定しない場合このように読み込まれます。
{{:chaosgroup:v-ray:tute:all:alpha_separate.jpg?direct|}}\\ Alphaチャンネルを分割した場合、このように読み込まれます。
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V-Rayからの .exrファイルを読み込むと以下のようなレイヤーが生成されます。\\
V-Rayの "Back To Beauty"で自動生成されるエメントは次の 10のレンダーエレメントです。
* VRayLighting
* VRayGlobalIllumination
* VRayReflection
* VRayRefraction
* VRaySpecular
* VRaySSS2
* VRaySelfIlumination
* VRayCaustics
* VRayAtmosphere
* VRayBackground
基本的にこの10のエレメント全てを(加算)で合成すると、「Beauty」に戻ります。\\ {{:chaosgroup:v-ray:tute:all:beauty_formula_resized.png?nolink|}}
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RGB レイヤーはレンダラーの最終レンダリング結果(Beauty)です。Alphaはアルファチャンネルです。\\
RGBとAlphaのレイヤーを非表示にします。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:ps01.jpg?nolink |}}\\ \\
残りのレイヤーを全て選択して 合成モードを「**覆い焼き(リニア)- 加算**」にセットしましょう。\\
RGB レイヤー(Beauty)と同じ結果になりましたね。
{{ :chaosgroup:v-ray:tute:all:ps02.jpg?nolink |}}\\ \\
以上が基本的な レンダーエレメントからBeautyを合成する **"Back To Beauty"**の手順です。
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===== 主な使い方 =====
反射の強弱をコントロールする場合は、Reflection(他のオブジェクトが反射した成分)レイヤーとSpeculerレイヤー(光源が反射した成分)を露出調整レイヤーで調整します。
{{http://sub.oakcorp.net/temp/backtoBeauty_reflection_conpo.mp4?&870x460}}\\ \\
オブジェクトの色は、Lightingレイヤーに色相・彩度調整レイヤーを適用して調整します。
以下の動画では色相・彩度調整レイヤーにCryptomatteからのマスクを以下の手順で適用しています。\\
[[https://www.youtube.com/watch?v=vgEkP8QZ3QY]]
{{http://sub.oakcorp.net/temp/backtoBeauty_color_cmpo.mp4?&870x460}}\\ \\
Lightingレイヤーは全てのライトからのシェーディングが含まれているので、陰影含めてカラー調整されます。純粋に色だけを調整したい場合は、"Global Illumination"エレメントの代わりに"DiffuseFilter"エレメントと"Raw Global Illumination"エレメントを別途追加し乗算して使用します。\\ {{:chaosgroup:v-ray:tute:all:global_illum_formula_resized.png?direct&400|}}
さらに「Back To Beauty」以外の様々なエレメントを活用すると「Shaodwを薄く/濃くする」「写真にCGを合成する」「Photoshop上でライトミックス」等ができる様になります。探求してみてください。(上級者向けなのでここでは解説を省きます)