V-Ray GPU をIPRに使う為のヒント
V-Ray GPU は、ルックデベロップメントと最終レンダリングに高速なインタラクティブなフィードバックを提供します。インタラクティブの反応が速くなると、アイデアをより多く検討し、生産性を高め、より良い結果を生み出す事に繋がります。この記事では、V-Ray GPU でのインタラクティブレンダリング(IPR)のワークフローと、ハードウェアのパフォーマンスを最大化するのに役立ついくつかの貴重なヒントを紹介します。
インタラクティブレンダリングを制御する設定は、3dsMax版では、IPRのパラメーターが付いています:
Maya 版ではV-Ray for Maya 内の [IPR] タブに纏めてあります:
IPR Rays Per Pixel (範囲 1 ~ 8 )
1パス中にピクセル毎にトレースされるRayの数。値が大きいほど1パスのノイズが少なくなり、GPU 使用率が増加します。
IPR Ray bundle size (範囲 128 ~ 512)
インタラクティブ レンダリング中に束として一緒に処理されるレイの数を制御します。
Undersampling (範囲 0 ~ 4)
画像の初期サンプリングレートを制御します。ゼロより大きく設定すると、V-Rayはレンダリング開始時の表示を高速化するために、より低い解像度でイメージを荒くレンダリングし始め、段階的にオリジナル解像度でのサンプルに移行します。
様々なハードウェア構成での推奨設定
以下に、Chaos内部テストに基づいた、様々なハードウェア構成用の最適なパフォーマンスと最適なGPU使用率を確保するた為のプリセット値を示します。 「アンダーサンプリング(Undersampling)」の値は個人的な好みの問題なので、自由に試してみてください。
ハイエンドGPU (RTX 3090 および RTX 4090) 用のプリセット:
- Rays Per Pixel 4
- Ray Bundle Size 256
- Undersampling 2
ミッドレンジGPU (RTX 3060, RTX 2080ti) 用のプリセット:
- Rays Per Pixel 2
- Ray Bundle Size 256
- Undersampling 2
ローエンドGPU (RTX 1080, RTX 2060 Super) 用のプリセット:
- Rays Per Pixel 1
- Ray Bundle Size 128
- Undersampling 2
複数のハイエンドGPUを搭載しているマシン用のプリセット:
- Rays Per Pixel to 8
- Ray Bundle Size to 512
IPR中に NVIDIA AI デノイザーを適用する
NVidia AI Denoiser は、AI を使用してノイズのない画像を推測します。インタラクティブレンダリングの初期パスでの高周波ノイズに対しても適切に動作し、GPU上で超高速に計算します。インタラクティブなレンダリングに非常に適しています。 V-Ray 6 では、マシンに複数のGPUがある場合、AI Denoiser専用デバイスを選択できます。これによりデノイズ処理を別のデバイスに分散できる為、インタラクティブなパフォーマンスと GPU メモリの使用量が向上します。これは、Maya/3dsMax の UIまたはスタンドアロンのデバイス選択ツールで実行できます。以下の例では、デノイズが RTX 3090に設定されています。RTX 3090の名前の横に *** がマークされていて、これはRTX 3090のディスプレイ出力端子に3台のモニターに接続されている事を意味します。この例では RTX 4090 は GPU レンダリング専用になります。
スタンドアロンのV-Ray GPUデバイス選択ツール(V-Rayインストーラーに同梱)
Maya内でのV-Ray GPUデバイス選択ツール
3dsMax内でのV-Ray GPUデバイス選択ツール
V-Ray GPU でのインタラクティブ レンダリングのワークフロー
まず、Denoiser レンダーエレメントを追加し、エンジンを NVIDIA AI Denoiser に設定します。 V-Ray for Maya では IPR レンダリング用のエンジンと最終レンダリング用に別のエンジンを設定できます。
3dsMaxでは、V-Ray GPU でDenoiser レンダーエレメントを追加し、エンジンを NVIDIA AI Denoiser に設定します。
SettingタブのPost Effect Rateを使用して、デノイザーの更新頻度を設定します。ハイエンドGPU の場合、これを 100 に設定できます。これはデノイザーができるだけ頻繁に更新されることを意味します。
3dsMaxでは、レンダー設定 > V-Rayタブ > フレームバッファロールアウト内に「ポストエフェクト更新頻度」が見つかります。
IPRタブで、上記のプリセットから IPR Rays Per Pixelと IPR Ray Bundle Size を設定します。この場合、RTX 4090 のハイエンド GPU プリセットが使用されました。また、インタラクティブレンダリングの Max Noise を 0 に設定するのは個人的な好みです。これらの設定の実際のプレビューをYoutubeで公開しています。
IPRでGPUライトキャッシュを使用する
GPUライトキャッシュは、主な照明が間接照明に依存する室内シーンで推奨されます。 GPUライトキャッシュはあらゆるシーンの変化やカメラの動きを計算する必要があるため、IPRで使用するとシーンのインタラクティブ性が大幅に低下しますが、より正確なライティングが提供され、ノイズが回避される長所もあります。
注: IPR の GPU ライトキャッシュサブディビジョンには 750 ~ 1500 の値を使用することをお勧めします。これにより、GPUライトキャッシュのパフォーマンスとインタラクティブレンダリングの全体的な応答性が向上します。その後、最終レンダリングではこの値を 2000 ~ 3000 まで増やすと良いでしょう。
逆に3dsMaxでは、デフォルトでIPR中はGIにLightCacheが使用されます。よりインタラクティブ性を向上させたい場合は ブルートフォースを選択してみてください。